「Googleアナリティクスは設置してあるけど、何を見ればいいかわからない」——製造業・建設業のWeb担当者から最も多く聞く声です。GA4(Google Analytics 4)は2023年にUA(ユニバーサルアナリティクス)から完全移行しましたが、BtoB企業向けの具体的な活用方法を説明するリソースはまだ少ない状況です。本記事では、製造業・建設業のBtoB企業がGA4を使って問い合わせを増やすための設定・計測・改善サイクルを実践的に解説します。
GA4の設定や分析結果の解釈でお困りですか?製造業・BtoB企業のWeb分析を専門的にサポートします。
無料相談はこちら1. GA4とUAの違い:なぜBtoB企業に重要なのか
GA4の最大の特徴は、「セッション」ではなく「イベント」を軸にしたデータ計測です。UAでは「何回サイトを訪問したか」が中心でしたが、GA4では「訪問者がサイト内で何をしたか」という行動の詳細が計測できるようになりました。
BtoB製造業でGA4が特に有効な理由
製造業BtoBでは、1回の訪問で問い合わせに至ることはほぼありません。担当者が複数回サイトを訪問し、技術情報ページやPDF資料を確認した後に初めて問い合わせボタンを押します。GA4の「探索」機能(ユーザー行動経路分析)を使えば、問い合わせに至ったユーザーが事前にどのページを閲覧していたかを可視化できます。これはUAにはなかった製造業BtoBにとって非常に重要な分析機能です。
UAからの主な変更点
- データ保持期間:デフォルト2ヶ月から最大14ヶ月に設定変更が必要(後述)
- 目標→コンバージョン:「目標」という概念がなくなり、「コンバージョン」イベントとして設定
- 直帰率の廃止:「エンゲージメント率」(10秒以上滞在またはイベント発生)に置き換え
- クロスデバイス計測:同一ユーザーのPC・スマートフォンからのアクセスを統合して把握
未設定サイトに比べ改善施策の
実行速度が平均3.5倍(社内調査)
(うちコンバージョン未設定が
約75%という実態)
2. GA4の初期設定:製造業サイトで必ず行う5つの設定
GA4を導入しても初期設定が不完全では、正確なデータが取れません。製造業・建設業サイトで必ず実施すべき5つの設定を解説します。
設定①:データ保持期間を14ヶ月に変更
GA4のデフォルトのデータ保持期間は2ヶ月です。製造業BtoBでは意思決定に数ヶ月かかるため、「半年前に資料請求した見込み客が先月問い合わせてきた」というような長期の行動分析ができません。管理画面 → データの設定 → データ保持 → 14ヶ月に変更を必ず実施してください。
設定②:内部トラフィックの除外
自社スタッフのアクセスが集計に含まれると、問い合わせページの流入データが歪みます。管理 → データストリーム → タグの設定 → 内部トラフィックの定義で自社のIPアドレスを除外します。複数拠点がある場合は各拠点のIPを登録してください。
設定③:コンバージョンイベントの設定
「問い合わせフォームの送信完了」をコンバージョンとして設定します。一般的には送信完了ページ(サンクスページ)のURLを「ページビューイベント」としてコンバージョンに登録します。「お問い合わせ」ボタンのクリックもコンバージョンとして追加すると、フォーム到達率と送信完了率の両方が計測できます。
設定④:Google Search Consoleとの連携
GA4とGoogle Search Consoleを連携することで、「どの検索キーワードから来たユーザーが問い合わせしたか」が分析できます。管理 → Search Consoleのリンクから連携を設定してください。連携後は「集客 → Search Console」レポートで確認できます。
設定⑤:拡張計測機能の確認
GA4にはデフォルトで「スクロール計測」「外部リンククリック」「ファイルダウンロード」などの拡張計測機能があります。製造業サイトではPDFカタログのダウンロードが重要な行動指標になるため、ファイルダウンロード計測が有効になっているか必ず確認してください。
設定確認のポイント:GA4の管理画面 → データストリーム → ウェブストリームの詳細 → 拡張計測機能 で、「ファイルのダウンロード」がオンになっていることを確認してください。PDFのダウンロード数は製造業BtoBにおける「検討段階」のシグナルとして非常に有効です。
3. BtoB製造業で追うべき5つのKPI
GA4には膨大な指標がありますが、製造業BtoBでビジネス成果に直結するのは以下の5つです。この5つに集中して週次・月次でモニタリングします。
KPI①:コンバージョン数(問い合わせ送信完了数)
最も重要な指標です。月間何件の問い合わせをWebから獲得できているかを把握します。前月比・前年同月比で推移を確認し、施策の効果を判定します。製造業BtoBの中小企業では月1〜3件でもWebからの問い合わせがあれば良好なスタートです。
KPI②:コンバージョン率(CVR)
全セッション数に対するコンバージョン数の割合です。製造業BtoBのCVRは一般的に0.3〜1.0%の範囲が目安です(BtoCの平均2〜3%より低いのが正常)。CVRが極端に低い場合はフォームの使いにくさや、ランディングページのコンテンツと訪問者のニーズのミスマッチが原因として考えられます。
KPI③:技術情報ページのエンゲージメント率
「対応素材一覧」「加工実績」「技術仕様」などのページで、10秒以上の滞在またはスクロール50%以上を達成したセッションの割合です。この指標が高いほど「真剣に検討している見込み客」が多いことを示します。エンゲージメント率が40%を下回る場合はコンテンツの充実化が必要です。
KPI④:問い合わせページへの到達率
サイト訪問者のうち問い合わせページ(コンタクトフォーム)に到達した割合です。到達率が低い場合はサイト内の導線(CTAボタンの配置・テキスト)に問題があります。各ページに適切なCTAが配置されているか見直すきっかけになります。
KPI⑤:流入チャネル別コンバージョン数
オーガニック検索・直接アクセス・参照元サイト・SNSなど、どのチャネルから来たユーザーが最も問い合わせにつながっているかを把握します。製造業BtoBではオーガニック検索(SEO)と直接アクセス(指名検索)が主要チャネルになることが多く、施策の優先順位を決める際の判断材料になります。
4. GA4の探索機能:問い合わせまでの行動経路を可視化する
GA4の「探索」機能は、製造業BtoBサイトの改善において最も強力なツールです。特に「経路データ探索」と「ファネル探索」を使いこなすことで、問い合わせ増加に直結するインサイトが得られます。
経路データ探索:問い合わせ前に何を見ているか
「探索 → 経路データ探索」を選び、終点に「問い合わせ完了ページ」を設定します。すると問い合わせした訪問者が直前に閲覧していたページが可視化されます。「加工実績ページを見た人が問い合わせに至りやすい」「会社概要ページから直接問い合わせが多い」といった傾向が見えてきます。
ファネル探索:どこで離脱しているか
「トップ → 技術情報ページ → 問い合わせフォーム → 送信完了」というファネルを設定します。各ステップの通過率を見ることで、「どこで訪問者が離脱しているか」が一目でわかります。「技術情報ページからフォームへの遷移率が5%以下」ならCTAの改善、「フォーム到達後の送信完了率が50%以下」ならフォーム自体の使いやすさ改善が必要です。
GA4の探索機能の設定・読み方でお悩みの方に。製造業BtoB企業向けのアクセス解析レポート設計をサポートします。
無料相談はこちら5. アクセス解析から改善施策を導く3ステップ
データを見るだけでは意味がありません。GA4のデータから具体的な改善施策を導くための3ステップを解説します。
ステップ1:問題を「数字で」特定する
「なんとなく問い合わせが少ない」ではなく、「技術情報ページのエンゲージメント率が28%(業界平均40%を下回る)」「フォーム到達率が0.8%(前月比-30%)」というように数字で問題を定義します。感覚ではなく数字で問題を特定することで、施策の優先順位が明確になります。
ステップ2:原因仮説を立てる
数字の問題が特定できたら、なぜその数字になっているかの仮説を立てます。「技術情報ページのエンゲージメント率が低い → コンテンツが薄く、すぐに離脱している可能性」「フォーム到達率が低い → CTAボタンが目立たない・テキストが曖昧な可能性」というように1〜2個に絞って仮説を立てます。
ステップ3:1つ変えて、1ヶ月計測する
仮説に基づいて施策を実施しますが、一度に複数の変更をしないことが鉄則です。「CTAボタンのテキストを変更した」「技術情報ページにPDF資料を追加した」という1つの変更に対して、1ヶ月間データを計測します。複数変更を同時に行うと、どの施策が効いたかわからなくなります。
改善事例(製造業A社):GA4の経路分析で「加工実績ページを3ページ以上閲覧した訪問者の70%が問い合わせに至っている」ことが判明。全ページの下部に「加工実績を見る」CTAを追加した結果、翌月の問い合わせ数が1.4倍に増加しました。
6. Google Search ConsoleとGA4の連携分析
GA4単体では「サイト内の行動」しか見えません。「どの検索キーワードで来た人が問い合わせしているか」を把握するには、Google Search Consoleとの連携分析が必要です。
連携後に確認すべき2つのレポート
- ランディングページ×クエリ分析:どのキーワードでどのページに流入し、そのページから問い合わせが発生しているか。「加工精度 ステンレス」で検索して加工実績ページに来た人の問い合わせ率が高い、といった発見につながります。
- 表示回数は多いがクリック率(CTR)が低いキーワード:Googleに表示されているのにクリックされていない場合は、titleタグやmeta descriptionの改善でCTRが上がる余地があります。
月次でチェックすべき指標の組み合わせ
Search Consoleで「インプレッション増加キーワード」を特定 → GA4でそのキーワードからの訪問者の行動を確認 → コンバージョンにつながっているか検証する、という流れが製造業BtoBのWeb改善の基本サイクルです。
7. まとめ:今週から始めるGA4活用3アクション
GA4は設置するだけでは価値が生まれません。正しく設定し、定期的に数字を見て、施策につなげる習慣を作ることが重要です。今週から始める3つのアクションを提案します。
- データ保持期間を14ヶ月に変更する(5分で完了)。これをしないと長期の行動分析ができません。管理 → データの設定 → データ保持から変更してください。
- コンバージョンイベントを設定する(30分で完了)。「問い合わせ完了ページ」のURLをコンバージョンとして登録することで、初めて「何件の問い合わせをWebで獲得できているか」が計測できます。
- 毎月第1営業日にKPI5指標を確認する日を作る。カレンダーに「GA4月次確認」を入れ、コンバージョン数・CVR・エンゲージメント率・到達率・チャネル別CVを見る習慣を作ります。
GA4はデータを「見るためのツール」ではなく、「問い合わせを増やすための意思決定ツール」として活用することが重要です。製造業・建設業のサイトで計測できていない指標があれば、まず今日から設定を見直してみてください。
GA4設定・アクセス解析・Web改善のご相談はこちら。製造業・BtoB企業に特化した視点で、データから問い合わせ増加につなげるご支援をします。
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